誘惑~初めての男は彼氏の父~
 私は予期せぬ内村さんからの非難に、何も言い返せなくなってしまった。


 「せっかく頑張っているのに、あなたは好き勝手なことばかりして、佑典さんに迷惑かけて・・・。佑典さんがかわいそう」


 「ちょっと待って。私がいったい何をしたって言うの」


 今まで言われっ放しだったけど。


 たまりかねて私は、内村さんに反撃を始めた。


 「白々しい言い訳はやめてください」


 内村さんは私の言葉に、耳を傾けようともしない。


 「これ以上佑典さんを傷つけないうちに、身を引いた方がいいんじゃないですか」


 そしてはっきりと言い放った。


 これは宣戦布告?


 私に佑典と別れろと?


 「・・・」


 内村さんを見つめ返した。


 この子はどういう根拠で、私に佑典と別れろと。


 「とにかく、これ以上あなたといると、佑典さんの人生はメチャクチャになります。あなたは佑典さんに相応しい存在ではないみたいですしね。早く別れてください」


 この言葉で想像がついた。


 私の援助交際の噂に言及しているのだ。


 そして・・・私にとどめを刺すように、彼女は去り際にこんな台詞を吐いた。


 「ベンツのおじさまと、せいぜい楽しんでください」
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