誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「たぶんそういうことなんだろう」


 佑典は私の援助交際の噂は、たまたま和仁さんの送ってもらっているところを誰かが見ただけだと思っている。


 私を信じ切っている・・・。


 そういえば私が和仁さんと一緒のところを、目撃した人は誰なのだろう。


 その人が大袈裟に言い触らしたのか、それとも噂を耳にした人が悪意を持って話を捏造したのか。


 ・・・佑典の耳に入れた人は誰だろう。


 まだまだ知りたいことはたくさんあったけど、これ以上は深入りしないほうがいいと直感した。


 過度に追求しすぎると、逆に佑典に不信感を与える気がした。


 それと、佑典に想いを寄せる内村さんもまた、この噂を耳にしていて。


 水面下で、SNSの鍵付きアカウント内で私のことをあれこれ噂しているらしい。


 私のスキャンダルは、彼女にとって絶好のチャンス。


 私が佑典と別れることを、切望しているのだから・・・。


 「もう気にしないほうがいいよ。うちの父親に送ってもらったのを見て、誰かが勘違いしているだけなんだろうから」


 「うん・・・」


 「それに、軽はずみに援交なんて口にする奴には、今後は俺から注意しておくから」


 「ありがとう」


 確かに援交は事実無根なので、早急に訂正をお願いしたかった。
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