誘惑~初めての男は彼氏の父~

疑惑

***


 「いくら真夏だとはいえ、こんな露出の多い服を着て・・・。悪い子だね」


 「そんな」


 そんなに露出が多いわけではない。


 昼間は真夏日、夜になっても気温が下がらず熱帯夜の模様。


 黙っていても汗が出てくるので、胸元の広がった服を確かに着てはいた。


 「男を自ら招き入れる、誘蛾灯みたいなものだよ」


 胸元の広がりは紐で調節するようになっているのだけど、蝶結びで結ばれた紐を和仁さんは難なく解く。


 「ここでですか・・・」


 「誘ってきたのは、理恵のほうだよ」


 「・・・」


 短いドライブの果てにたどり着いたのは。


 一年前のあの夜、再会後初めて身を委ねた、あの灯台の近く。


 あの夜のように今夜も、灯台の淡い光がほんのりと見える。


 それ以外は夜の闇が広がるだけ。


 車の中で波音を聞いているうちに、成り行きで。


 「今日は車まで指定してきて・・・。こっちのほうがやりやすいのかな」


 「そういうわけではないのですが」


 外車はさすがにまずいと思ったので、今日は別の国産車で迎えに来るようお願いしておいた。


 胸元の紐はさらに緩められ、いつの間にか胸が露わになっていた。


 そこを唇で触れられると・・・力が抜ける。


 成すがままにその先を求めてしまう。
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