誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「誰か来てるのか? おや、この靴のサイズは女の子だな。彼女か?」


 「・・・そうだけど。以前父さんにも話した、寺本理恵さん」


 「ああ、噂の・・・。父さんの留守中に内緒で家に連れ込むとは、あまり関心しないな」


 「たまたまだって。ただDVD見ていただけだって」


 佑典は動揺しているけど、お父さんは年長者の余裕か、笑いながら息子をからかっている様子だった。


 ご挨拶せねばと、私も玄関へと歩いて向かった。


 しかも相手は、このような豪邸に住むお金持ち。


 親の留守中にみだりに男の家に上がりこむ、ふしだらな娘だと思われ印象悪くするのは避けたかった。


 きちんと挨拶して、これを機に親公認の付き合いとしておきたかった。


 廊下を歩いて、佑典親子のいる玄関へと向かう。


 向かっている間も、親子の会話は続いている。


 聞こえてくる佑典のお父さんの声は、どこか優しく懐かしく胸に響いてきた。
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