誘惑~初めての男は彼氏の父~
(佑典、そんなこと・・・!)
二人の間の性的なことを他者、よりにもよって和仁さんに告げるのはためらわれたので、やめさせようとした。
ましてや電話を変わるなど。
「ん、不要? そう」
和仁さんは電話の向こうで、別の男の余韻が残った私の声を聞くことを拒絶した様子。
「というわけで今夜は帰らないから。理恵のことはきちんとするんで。じゃあね」
そこで電話は終わった。
「佑典・・・」
電話を電気スタンドの脇に置き、振り返った佑典を私は困惑の眼差しで見つめた。
私とこんなことしているって、別に和仁さんにアピールしなくても・・・。
もしかして完全に疑いを解いたわけではなく、和仁さんを困らせるために、いつもの佑典では考えられないような挑発に出たのだろうか。
「父さんね・・・」
「何がおかしいの」
佑典が苦笑しながら語りだしたので、思わず私は尋ねた。
「・・・全然冷静なんだ。俺はもう成人しているとはいえ、相手は他所の家のお嬢さんなんだから、責任を持った行動をしろと・・・。ご立派な父親の態度を全く崩さない・・・」
「・・・」
「俺が理恵と一緒にいることを知って、ちょっとでも取り乱してくれたら、疑いが確信となり、罵ることができたのに。あれじゃ付け入る隙もない・・・」
佑典は恐る恐る和仁さんに電話をした。
嫉妬で心乱れ、ボロを出したら思いっきり非難してやろうと手ぐすね引いて待ちつつ。
疑いは妄想であってほしいと祈りながら、そつのない父親としての対応を期待していた。
二人の間の性的なことを他者、よりにもよって和仁さんに告げるのはためらわれたので、やめさせようとした。
ましてや電話を変わるなど。
「ん、不要? そう」
和仁さんは電話の向こうで、別の男の余韻が残った私の声を聞くことを拒絶した様子。
「というわけで今夜は帰らないから。理恵のことはきちんとするんで。じゃあね」
そこで電話は終わった。
「佑典・・・」
電話を電気スタンドの脇に置き、振り返った佑典を私は困惑の眼差しで見つめた。
私とこんなことしているって、別に和仁さんにアピールしなくても・・・。
もしかして完全に疑いを解いたわけではなく、和仁さんを困らせるために、いつもの佑典では考えられないような挑発に出たのだろうか。
「父さんね・・・」
「何がおかしいの」
佑典が苦笑しながら語りだしたので、思わず私は尋ねた。
「・・・全然冷静なんだ。俺はもう成人しているとはいえ、相手は他所の家のお嬢さんなんだから、責任を持った行動をしろと・・・。ご立派な父親の態度を全く崩さない・・・」
「・・・」
「俺が理恵と一緒にいることを知って、ちょっとでも取り乱してくれたら、疑いが確信となり、罵ることができたのに。あれじゃ付け入る隙もない・・・」
佑典は恐る恐る和仁さんに電話をした。
嫉妬で心乱れ、ボロを出したら思いっきり非難してやろうと手ぐすね引いて待ちつつ。
疑いは妄想であってほしいと祈りながら、そつのない父親としての対応を期待していた。