誘惑~初めての男は彼氏の父~
「俺の進路に、理恵を巻き込むなって。まだ二十歳を越えたばかりの子を、大学を辞めさせて異国まで連れて行くのはだめだって」
「お父さんは、そうおっしゃったの・・・」
「早くとも理恵が、大学を卒業してからにしろとのこと。無理やり大学を辞めさせるのは、これまで学費を工面してくれた理恵のお母さんにも申し訳が立たなくなるし」
「そうね・・・」
私が一番困惑したのは、海外に行くことよりもむしろ、大学を辞めろと言われたことかもしれない。
頑張って合格し入学し単位を取得し、四年生に進級した段階で辞めてしまうのは・・・。
「俺も頭を冷やしてあれこれ考えたら、結局父さんの意見が正しいような気がしてきた」
「私もそう思う」
「俺、ちょっと焦りすぎていたかも。進路のことに関しても、理恵のことにしても」
「私の?」
「うん。まずは採用通知がなかなかこなかった焦り。そして理恵を父さんから遠ざけたいって焦り」
「え・・・」
「噂を本気にしたわけではないけれど、父さんが理恵の噂の相手となり得るのが現実。だからこれ以上、理恵を父さんの手の届くところに置いておきたくはなくて」
「私をそんな」
「二人だけの世界を築きたくて、焦っていたんだと思う」
「お父さんは、そうおっしゃったの・・・」
「早くとも理恵が、大学を卒業してからにしろとのこと。無理やり大学を辞めさせるのは、これまで学費を工面してくれた理恵のお母さんにも申し訳が立たなくなるし」
「そうね・・・」
私が一番困惑したのは、海外に行くことよりもむしろ、大学を辞めろと言われたことかもしれない。
頑張って合格し入学し単位を取得し、四年生に進級した段階で辞めてしまうのは・・・。
「俺も頭を冷やしてあれこれ考えたら、結局父さんの意見が正しいような気がしてきた」
「私もそう思う」
「俺、ちょっと焦りすぎていたかも。進路のことに関しても、理恵のことにしても」
「私の?」
「うん。まずは採用通知がなかなかこなかった焦り。そして理恵を父さんから遠ざけたいって焦り」
「え・・・」
「噂を本気にしたわけではないけれど、父さんが理恵の噂の相手となり得るのが現実。だからこれ以上、理恵を父さんの手の届くところに置いておきたくはなくて」
「私をそんな」
「二人だけの世界を築きたくて、焦っていたんだと思う」