誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「何ですって」


 佑典の名前を出され脅されたので、私は振り返って和仁さんをにらんだ。


 「何を考えてるんですか。正気とは思えません。こんな・・・」


 目の前のドアの向こうは廊下。


 そして廊下の先には玄関があり、今頃佑典はそこで宅配業者に応対している。


 サインを済ませ、荷物を受け取り、そろそろ戻ってくる・・・!


 「ずいぶんな言いようだな。三年前一方的に連絡を絶って僕を捨てておいて、今度は息子に手を出すという、最もひどい仕打ちを」


 「そんな、私・・・!」


 確かに関係を一方的に清算したのは事実だけど。


 意図的に佑典と付き合ったわけじゃない。


 第一親子関係だなんて、夢にも思わなかったし。


 今こうして衝撃の再会を果たすまで、全く予想できない事実だった。


 「捨てたじゃないか。いくら待っても連絡がないから、こっちから連絡したところ、君の携帯電話は解約済みだった」


 ボト・・・。


 その瞬間、ポケットに入れておいた私の携帯電話が床に落ちた。


 和仁さんは私を離し、素早くそれを拾い上げる。
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