誘惑~初めての男は彼氏の父~
・・・。
「待って」
翌朝、明るくなってから寮の前まで送ってもらった。
私を送り届けてから、佑典は一旦バスを乗り継いで帰宅して。
夕方また街に出て、オーケストラ部の卒業記念パーティに出席する。
それは部員限定の行事なので、私は顔を出せない。
内村さんのことが気がかりだけど、黙ってなりゆきを見守るしかない。
私だけを一途に愛してくれる佑典が心変わりするなんて、まずはありえないこととはいえ・・・。
どこか不安を感じて、私は立ち去ろうとする佑典を呼び止めてしまった。
「どうした?」
佑典は笑顔で、再び私の方を振り返る。
「・・・」
先ほどまで繋いでいた手のぬくもりが、朝の冷たい風に奪われていく。
三月の下旬、暦の上ではもう春で、晴れていて朝の光が眩しい朝とはいえ、最低気温はまだまだ氷点下。
「どうしてそんなに、寂しそうな表情するの」
私はかなり、表情に切なげな色が浮かんでいたらしい。
今まで何度も夜を共にして、朝の別れは体験してきたけれど。
この時の不安はかつてない程だった。
「馬鹿だな。今日が最後じゃないのに」
佑典はそっと私の髪に触れた。
「待って」
翌朝、明るくなってから寮の前まで送ってもらった。
私を送り届けてから、佑典は一旦バスを乗り継いで帰宅して。
夕方また街に出て、オーケストラ部の卒業記念パーティに出席する。
それは部員限定の行事なので、私は顔を出せない。
内村さんのことが気がかりだけど、黙ってなりゆきを見守るしかない。
私だけを一途に愛してくれる佑典が心変わりするなんて、まずはありえないこととはいえ・・・。
どこか不安を感じて、私は立ち去ろうとする佑典を呼び止めてしまった。
「どうした?」
佑典は笑顔で、再び私の方を振り返る。
「・・・」
先ほどまで繋いでいた手のぬくもりが、朝の冷たい風に奪われていく。
三月の下旬、暦の上ではもう春で、晴れていて朝の光が眩しい朝とはいえ、最低気温はまだまだ氷点下。
「どうしてそんなに、寂しそうな表情するの」
私はかなり、表情に切なげな色が浮かんでいたらしい。
今まで何度も夜を共にして、朝の別れは体験してきたけれど。
この時の不安はかつてない程だった。
「馬鹿だな。今日が最後じゃないのに」
佑典はそっと私の髪に触れた。