誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「しかも・・・。かつて付き合いのあった子が、まさか自分の息子に手を出していたとは。さっきはごめんね。お邪魔しちゃって」


 「さっきから言ってますが、それは誤解です。私、そんなことをしていません」


 「その割には、さっきブラウスのボタンが全部、一個ずつずれていたようだけど」


 「え・・・」


 確かめようにもブラウスは、もうすでにシャワーの前に脱いでしまっている。


 「いちゃついている最中に、僕が出張が中止になって帰宅するという不測の事態があって、慌てて服を着たというのが実情だろ?」


 「経緯はどうであろうと・・・、私たちまだそんな関係になってません」


 「今のところは・・・ね」


 電話の向こうで和仁さんが、自信満々な表情を浮かべているのが見えるようだ。


 「ま、それはいいとして。こうやって再会できたことだし、今度ゆっくり会おうか」


 「え・・・。困ります。だって私は今は・・・」


 佑典という人がいるというのに、絶対に和仁さんと二人きりで会うわけにはいかない。
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