誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「何か勘違いしてるんじゃないか。僕はただ、息子の交際相手としての君と話をしたいと望んだだけだ」


 ・・・それだけで終わるとは、到底思えない。


 また以前のようなことになりそう。


 その時、


 「あ、佑典が風呂から出てきたようだ。今日はこれまでだ。詳しくはまた、連絡するから。おやすみ」


 「・・・」


 今日はこれで逃れることができたけれど。


 私が佑典と付き合い続ける限りは、和仁さんとの繋がりも消えることはない。


 どうしよう・・・。


 事情が事情だけに、佑典にも相談できない。


 全てが白日の元に晒されたら、大変なことになる。


 ・・・とりあえずは今後、極力和仁さんには接触しないようにしよう。


 佑典のそばにいる限り、いつまでも逃げ続けてばかりはいられないのは分かっているけれど。


 そして・・・。


 このままあの人を拒み続けることができるか、非常に不安だった。


 かつて抱かれた時のこの上ない充実感が、忘れられないのもまた事実・・・。
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