誘惑~初めての男は彼氏の父~

誓約

***


 ♪♪♪~


 やはり予想通り、携帯電話が鳴り始めた。


 その日の夜、佑典はオーケストラ部の練習で不在。


 私はそういう日は、なるべく家庭教師のバイトを入れるようにしていた。


 子供に勉強を教えるのは大変だけど、時給が高いというメリットもある。


 家庭教師先で晩ご飯をご馳走になったため、寮に戻ったのは夜九時を過ぎていた。


 部屋に入って水分補給をし、シャワーの準備をおもむろに始めていた時、携帯電話の着信音が鳴り響いた。


 「・・・」


 もちろん昨夜と同じ番号。


 「もしもし・・・」


 逃げ続けても解決にならないので、電話に出た。


 「こんばんわ、理恵ちゃん」


 拒絶できない甘い声が、電話の向こうから・・・。


 「こんばんわ」


 念のため私も挨拶。


 「今日は佑典はオーケストラの練習だから、暇してるんじゃないかと思ってね」


 親として息子のスケジュールは、把握しているようだ。


 息子が不在の隙に、こうして電話を・・・。
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