誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「これからのこと・・・」


 何を言ってくるのか予想がつかず、私は息を飲んだ。


 脅しか、和睦か、調停案か・・・。


 「僕とのことはなかったことにして、このまま佑典と続けるか。それとも佑典に隠れて楽しむか」


 「そんな・・・!」


 「それか、永遠に僕たち父子の前から姿を消すか。それも一つのけじめだ」


 「・・・」


 どうしよう。


 いずれにしても今までどおりの平凡な毎日から、何かが変化してしまうことには間違いがない。


 「即断は難しいよね」


 「はい。何もかもが想定の範囲外なことばかりで・・・」


 「近々・・・会って話をしない?」


 「え・・・」


 ついに誘いをかけてきた。


 いつかこういう展開に出てくるのは予期していた。


 「だめです。二人きりで会うなんて」


 今後誘われたら、絶対断ろうって胸に誓っていた。


 「もしかして、佑典に気を遣ってる?」


 そう尋ねる和仁さんの口調には、少し苦笑いの気配がした。


 「それと・・・二人きりで会うのはキケンだと。僕に襲われるかもしれないと」
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