誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「運転だけじゃない。佑典は料理に掃除に洗濯、家事全般そつなくこなす。申し分のない息子だよ。どこに嫁に出しても恥ずかしくない」


 「嫁ですか」


 笑っていいものやら分からず、私はリアクションに窮してしまった。


 「もしも理恵ちゃんが佑典と結婚しても、あいつはいい夫になると思うよ。僕と違って家庭的で、優しい」


 「な、何言ってんですか」


 私は和仁さんの意図が判らず、困惑した。


 「もしも私が佑典くんと結婚なんてなった日には、和仁さんは私の・・・」


 佑典のことは好き。


 だけど佑典と結婚となったら、和仁さんは私の義理の父親。


 そんな未来、冷静になって考えてみると恐ろしい・・・!


 「だから私、」


 私が言葉を続けようとした時だった。


 「お待たせしました。和風ハンバーグセットになります」


 私の注文したものが届いてしまった。


 続いて和仁さんのステーキセットも。


 会話は一時中断とし、食事をスタートさせた。
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