俺様ヤンキー君と秘密の関係
一条君がいる教室といない教室とでは全然違う。
目の届く範囲にいるのに、話せないことが辛くて仕方ない。
「よう」
通りすがりに、ライ君がわたしに挨拶をしてくれた。
「あ、お、おはよう……!」
あの日、わたしのことを認めてくれたライ君とは、廊下ですれ違ったりすることがあればこうやって声をかけてくれるようになった。
それは嬉しいし、ありがたいんだけど。
「おはよう……」
一条君と目が合い、小さくそう言った。
だけど一条君は、わざとらしくプイと顔を背けると、スタスタと自分の席に行ってしまった。
ーーズキッ
胸が痛い。