俺様ヤンキー君と秘密の関係
息を切らしながら、一条君がいる場所まで走った。
「一条君……!」
大きな声で名前を呼ぶと、わたしに気付いた一条君がこっちを見て目が合う。
「お前……なんで」
さっきまでとは打って変わって、トゲトゲしさは一切見当たらない。
むしろ、驚きの顔で一条君はわたしを見ていた。
「モ、モケちゃん……!」
手にしていたモケちゃんを、一条君の目の前にかざす。
「助けてくれてありがとう!はぁ……わたしも、モケちゃんみたいに強くなろうと思って……追って来たの」
そう。
踏まれたってへこたれないくらいに。
今はっきり思い出した。
わたしは、一条君と一度会ってた。
あの日、モケちゃんを踏んだのは一条君だったんだね。