小野部長
「部長、でも家の扉が少し開いていたっていうのは‥?」
高峰がそっと部長に聞くと、あっけらかんと部長が言った。
「僕、あの時新幹線に乗り遅れそうで慌てていたんだよね。
で、どうやら扉を出るときに靴が挟まっちゃったみたいなんだ。
通勤に使ってた靴だったんだよ。盗まれなくってよかったよ。」
あの頃は靴一足買うのも大変だったからさ、と能天気に笑う部長。
部長の家には靴より高いものはなかったのだろうか――。
ぼんやり考える高峰であった。
高峰がそっと部長に聞くと、あっけらかんと部長が言った。
「僕、あの時新幹線に乗り遅れそうで慌てていたんだよね。
で、どうやら扉を出るときに靴が挟まっちゃったみたいなんだ。
通勤に使ってた靴だったんだよ。盗まれなくってよかったよ。」
あの頃は靴一足買うのも大変だったからさ、と能天気に笑う部長。
部長の家には靴より高いものはなかったのだろうか――。
ぼんやり考える高峰であった。