小野部長
宝刀
「ぶちょー、ちゃんと手、洗いました?」
飲み会会場である居酒屋で、トイレ帰りの小野部長に尋ねる田中。
「え?おしっこだもん。洗わないよ。」
ケロッと答える小野部長。
「げー!汚ーい!!」
思いっきり顔を顰める田中達女性陣。
「なんだい?僕の宝刀が汚いっていうのかい?君たちだって、お父さんの宝刀がなければ生まれてはこなかったんだよ。そんな神聖なものを汚いなんて、失敬だな。」
ぷりぷりと怒る小野部長。
「えー、でも、手にひっかかったりしないんですか?」
「そんなヘマ、しないよ。ねぇ高峰君、おしっこの時は手なんて洗わないよね。」
顔を引きつらせて部長を見る高峰。
「‥洗いますよ。」
「えー?!何で?どうして、高峰君!!」
本気で驚いているのであろう小野 隆、48歳。
「おっきい時はともかく、なんでおしっこで手を洗うの?だれがそんな失礼な事、教えたの?」
「普通みんな洗うと思いますよ。」
ぼそぼそと答える高峰に向かい合い、キリッとした顔で、す、と背筋を伸ばす小野部長。
「普通?普通って何?高峰君、僕はそういうの、好きじゃないな。
普通ってさ、何に比べてるの?マジョリティの事を言っているのかな?多くの人が言っていることが正しくて、少数派の意見は間違っているの?
じゃあもし、多くの人が銀行強盗をしたら、それは正しい、普通の事なの?」
飲み会会場である居酒屋で、トイレ帰りの小野部長に尋ねる田中。
「え?おしっこだもん。洗わないよ。」
ケロッと答える小野部長。
「げー!汚ーい!!」
思いっきり顔を顰める田中達女性陣。
「なんだい?僕の宝刀が汚いっていうのかい?君たちだって、お父さんの宝刀がなければ生まれてはこなかったんだよ。そんな神聖なものを汚いなんて、失敬だな。」
ぷりぷりと怒る小野部長。
「えー、でも、手にひっかかったりしないんですか?」
「そんなヘマ、しないよ。ねぇ高峰君、おしっこの時は手なんて洗わないよね。」
顔を引きつらせて部長を見る高峰。
「‥洗いますよ。」
「えー?!何で?どうして、高峰君!!」
本気で驚いているのであろう小野 隆、48歳。
「おっきい時はともかく、なんでおしっこで手を洗うの?だれがそんな失礼な事、教えたの?」
「普通みんな洗うと思いますよ。」
ぼそぼそと答える高峰に向かい合い、キリッとした顔で、す、と背筋を伸ばす小野部長。
「普通?普通って何?高峰君、僕はそういうの、好きじゃないな。
普通ってさ、何に比べてるの?マジョリティの事を言っているのかな?多くの人が言っていることが正しくて、少数派の意見は間違っているの?
じゃあもし、多くの人が銀行強盗をしたら、それは正しい、普通の事なの?」