カノンの流れる喫茶店
マスターが言った。
「僕でよければ、いつでもコーヒーを入れるから。元気出して」
マスターは優しい。
だけど、
「マスター、傷心の女の子に、そんなこと言っちゃ惚れちゃうよ」
マスターは心に決めた人がいるんだから、そんな優しさ、とてもずるいと思った。
「だけど」
と、マスターは食い下がる。
優しいマスターは、常連の私を、気遣ってくれる。
とても嬉しいけれど……
「じゃあマスター、私のためにピアノ弾いてくれる?」
「え?」
「知ってるよ。マスター、ピアノ弾けるでしょ。カノン、愛のあいさつ、最後にきらきら星……私のためだけに弾いてくれる?」
その優しさに、つけ込みたくない。
私には、手の中にもらったラテのあたたかさだけで、もう充分だよ。
「僕でよければ、いつでもコーヒーを入れるから。元気出して」
マスターは優しい。
だけど、
「マスター、傷心の女の子に、そんなこと言っちゃ惚れちゃうよ」
マスターは心に決めた人がいるんだから、そんな優しさ、とてもずるいと思った。
「だけど」
と、マスターは食い下がる。
優しいマスターは、常連の私を、気遣ってくれる。
とても嬉しいけれど……
「じゃあマスター、私のためにピアノ弾いてくれる?」
「え?」
「知ってるよ。マスター、ピアノ弾けるでしょ。カノン、愛のあいさつ、最後にきらきら星……私のためだけに弾いてくれる?」
その優しさに、つけ込みたくない。
私には、手の中にもらったラテのあたたかさだけで、もう充分だよ。