カノンの流れる喫茶店
彼は言っていた……嫌いになったわけじゃないって……
そんなこと言って、別れを和らげてほしくなかった。
でも、ほんとに私のこと、嫌いになったわけじゃないのなら……
だったら……だったら、きらきら星からカノンへと曲が戻ったように、私達も戻れないだろうか……?
私は、無言のまま、彼のお釣りと忘れ物を手に、店から出た。
そしてつい立ち止まった店先、窓のところに、クロネコの人形を見る。
その左手が、なぜか、持ち上がっていた。
まるでどこかを指差しているようで……その方向は――
昔、通い慣れた、白い校舎へ続く道――
私は、レンガ敷きの通りを走り始めた。
あの教室、あのカーテンの中を目指して。
彼に、一万円、返してやるんだ。
これから先、何度、彼に先払いされたって。
そんなこと言って、別れを和らげてほしくなかった。
でも、ほんとに私のこと、嫌いになったわけじゃないのなら……
だったら……だったら、きらきら星からカノンへと曲が戻ったように、私達も戻れないだろうか……?
私は、無言のまま、彼のお釣りと忘れ物を手に、店から出た。
そしてつい立ち止まった店先、窓のところに、クロネコの人形を見る。
その左手が、なぜか、持ち上がっていた。
まるでどこかを指差しているようで……その方向は――
昔、通い慣れた、白い校舎へ続く道――
私は、レンガ敷きの通りを走り始めた。
あの教室、あのカーテンの中を目指して。
彼に、一万円、返してやるんだ。
これから先、何度、彼に先払いされたって。