Life in being 〜余命〜

カウンセラー


ーーー…。

チュンチュン。

朝の7時。

私が起きたのは、のどかな朝のこと。

けど、起きた部屋は私の部屋じゃない。

普通は高校生なんだし、もう学校へ行こうとか、張り切ってるのかもしれない。

だが、私は17歳だけど、学校にも行っていない。

起きても、そこは病院の一室。

病室の外の壁には、“里中 愛 様”って

ちゃーんと名前まで書いてある。

私はこんな名前好きじゃないけど。

いや、好きと言うか大嫌い?

『愛情たっぷりに育ちますように』

とか言って付けた名前らしいけど、

そんなの私にとっては迷惑な話だ。

何が愛情。

そんなものいらない。

私がもらったものといえば、

左胸に残された無数の傷と、

この弱った体だけ。

ホント…迷惑…。

コンコン。

そんな考えに嫌気が差して、

深いため息が漏れたところに、

ノック音が響いた。

「はい…」

小さく返事をすると、入って来たのは私の担当の看護師、近藤さやか。

さやかとは歳が近いってこともあって、結構仲がいい。

けど、入って来たのはもう一人、男がいた。

誰だろう。

私よりも少し大人な感じで、髪は栗色っぽい感じ、顔は整ってて、これをイケメンと世間一般では言うのだろう。

柄にもなく見惚れていると目があった。

バッ。

思わず目を逸らす。

「愛ー。この人あなたのカウンセラーね。」

「え?」

驚いて聞き返す。

カウンセラー?

それって心の病の人がやるやつだよね?

なんで私が…。

「なんで?って顔ね。この人大学院生で、専門が心理学でね、その実習の相手があなたになったのよ。」

結構勘の鋭いさやかはそう説明してくれた。

けど、カウンセラーなんて…。

確か人と必要以上に話したりしなきゃいけないやつだったはず。

そんなの私は向いてない。

てか、嫌だ。

そんな話題も別にないのに、赤の他人と話したりとか、吐き気がする。

「よろしくね、愛ちゃん♪」

さやかの少し後ろでそう言った男。

いかにもチャラそうで顔をしかめる。

「こらっ、そんな顔しない。まぁとにかく仲良くね」

そう言って、点滴を交換して出て行ってしまった。

さやか…後で色々愚痴聞けよ。

そう立ち去る後ろ姿を睨む。

「さてと、じゃあまず自己紹介と行こうか!」

にっこり。

さわやかにそう笑いかけた男に、私は益々顔をしかめたのだったーー…。

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