Life in being 〜余命〜

「…ね、ごめんって。そろそろ機嫌直せよ。」

そう言って、私の顔を覗き込んで来る。

その度に私は顔を反対に向ける。

さっきからその繰り返し。

そう簡単に、あんたのペースには乗せられないもんね!

「なぁ…。愛はさ、親に離されたことある?」

さっきまで私の顔を必死に見ようとしていた弘樹が、今度は窓の方を見て話しかけて来た。

遠いところを見ているような目。

その瞳は何処かさみしそうで、何故だか胸が締め付けられる。

「…俺はさ、親がそこそこの奴だから、家に帰って来るのは夜遅くて、ろくに会話もしたことがないんだ。」

ひっそりと、過去を振り返る弘樹。

悩みなんてなさそうな顔してるのに、今の顔は苦しさが滲み出た顔をしてる。

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