JOKER
誰かと言っても、大体は銀司。


彼氏でも、彼女でもないのに、お互いの体のことを、お互いが1番わかっていると思う。


いつものように銀司と体を重ね、それが終わると、袋に入った金を高城が適当に置き、部屋を出て行く。


人のセックスを見て、何が楽しいのかわからない。


裸のまま、煙草に火を付け、吸い出す。


「アイスドール」


そう言い、銀司も煙草に手を伸ばす。


「変なあだ名で、呼ばないくれる?」


あたしは、銀司に言い返す。


「ピッタリだろ、お前には」


アイスドールって、氷の人形?


あたしはフッと、顔を緩ませる。


「銀司くらいよ、あたしのことをそう呼ぶの」

「俺以外に、この屋敷でお前に話しかける奴なんて居ねぇだろ。頭に殺されるからな」

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