JOKER
奈美は、あたしの怪我の様子を真剣な瞳で見る。


そして、体に貼っていたガーゼやシップたちを張り替えて行く。


「女の子なんだから、もう少し自分のことを大事にしてあげたら?」


全てを見透かしているような瞳で、今回の怪我とは関係のない傷を見ながら言う。


それは、あたしの左肩にある古傷で、、、


あの印を消すために、自分でしたこと、、、


その古傷が、もう痛むことなんてないのに、、、


何故か、痛んだ気がした。


その古傷に、あたしは爪を立てる。


__ガシッ__


「止めなさい」


奈美は爪を立てていた手を掴み、言う。


その瞳は真剣で、奈美に逆らおうと思わなかった。

< 123 / 323 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop