JOKER
それが気に食わなかったのか、柊はあたしの手を離す。


突然温もりを失った、あたしの手は寂しそうに見えた。


「まぁ、良いわ。とりあえず、怪我見せて。で、柊は退場」


奈美の言葉を素直に聞き入れた柊は、素直に部屋を出て行った。


「ねぇ、あたし、、、前にも言わなかった?」


怪我を見ながら、奈美は口を開く。


「女の子なんだから、自分のこと大事にしろって」


そういえば、そんなことを言われたような気がするかもしれない。


「怪我する時は、女だろうが、男だろうがしますよ」

「あたしはそういうことを言ってるんじゃないの!」


奈美の言葉の意味が、わからないわけじゃない。


「普通の女の子だったら、、、素直に、頷けたのかな」


そんな言葉が、あたしの口から零れる。


奈美は、そんなあたしの言葉に手を止めた。

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