JOKER
彼に、何と声を掛けようか?


そう考えていると、意外にも彼の方から口を開いた。


「邪魔だ」


何の、コイツ。


あたしは不機嫌さを、露わにする。


人の通行の邪魔をしてるのは、そっちじゃない。


そんなあたしのことをスルーし、彼は先ほど吹っ飛ばされた男子学生の胸倉を掴む。


「、、、殴る、の?」


気付けば、彼にそんなことを言っていた。


キッと、彼はあたしのことを睨む。


そんな彼に脅えることなく、あたしは彼の目を見る。


彼と見つめ合ったまま、どれくらいの時間が流れただろう。


実際は、10分も経っていなかったのかもしれない。


だけど、あたしには凄く長く感じた。

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