JOKER
アイツの姿を見た時、あの時のアイツの顔が浮んだ。


憎悪に支配され、勝ち誇ったような顔をした、、、アイツの顔が、、、


そしてお父さんとお母さん、妹のあの子の、、、苦しむ顔も。


アイツは、視線を銀司からあたしに移す。


「銀司の、お知り合いの方?」


なんて、笑顔で尋ねられる。


なんで、笑ってんだよ。


あいつの態度が、あたしの復讐心を更に掻き立てる。


あたしはゆっくりと、銀司の元へと近付く。


そして向い合う形になり、銀司に抱き付く。


銀司の背中に手を回し、ゆっくりと回した手を腰辺りへと下ろしていく。


「銀司。前にあたし、言ったよね?」

「何を」


銀司はあたしの言葉の意味が理解できなかったのか、聞き返す。

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