JOKER
「羽衣(うい)」


一緒に住んでいる、翼(つばさ)があたしの名を呼ぶ。


翼と言う名前だが、彼女は女だ。


「何?」


翼は、気まずそうに口を開く。


「今日も、、、行くの?」


翼は、いつものように聞く。


あたしに「行かない」と言う、選択肢がないことを知って居て、いつも聞いてくる。


「翼が心配することじゃない。あたしはあたしの意志で、動いてるだけ」


そう言えば、翼が何も言えなくなることを知って居て、そんなことを口するあたしは卑怯者だ。


家の外から、エンジン音が聞こえてくる。


「あいつら、帰って来たみたいだね」


あたしは話を変えるために、そんな言葉を翼に向けた。

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