私の彼氏はおデブさん
周りで見ている生徒達も空気を読んだみたいにしん、と静まり返る。






「私の気持ち、気づいてたでしょ?」


「……ごめん。でも俺は、深瀬の事はじめから友達としてしか思ってなかった。思わせぶりな事してるとは自覚してなかった」


「そう……。じゃあしょうがないよね……」





申し訳なさそうに謝る藤崎君に、深瀬さんは物分り良く頷いた。



……筈だった。





「って幸せにね、とか言えるわけないじゃん……! 私だって洸ちゃんの事好きだもん! 諦めきれないもん!」





深瀬さんの目には、堪えきれないように涙が滲む。


まるで相沢さんから誤解されて悲しんだ時の私みたいに……。





その辛さを思い出して、深瀬さんを見ながら感情移入してしまいそうになる。

いや、というかもう、してるのかも……。






「橘さん……」


「は、はいっ!」






ぐずっと鼻水を啜りながら深瀬さんが名前を呼ぶと、私はビクッとしつつ返事をした。


この後何を言われるのかも知らずに。







「お願い。私が許可するまで、洸ちゃんと付き合わないで」


「え。………うん。分かった」





自分でも何でこんな返事をしてしまったのか分からないけど。



藤崎君や相沢さんを驚かせてしまったのは、確か。

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