私の彼氏はおデブさん
* * *
音楽が終わって教室へ戻ると、今まで黙っていた相沢さんが私の前の席に座りながら口を開いた。



不機嫌な顔で、ボソッと呟くように……。





「あーあ。折角付き合えそうだったのに……」





私を見る目が痛い。




(うう……相沢さんが何を言いたいかは分かってる。けど……)





「深瀬さん、きっと時間が必要なんだよ。心の整理する」


「じゃあ一生整理出来なかったら、涼花も一生藤崎と付き合わないわけ?」


「それは無理だけど……」


「涼花さぁ、優しいのは良いけど、藤崎の気持ちは考えた? 藤崎だって涼花から待たされて傷つくんだからね!」





一理ある相沢さんの言葉に、私は黙り込むしかない。




(そっか……深瀬さんの事を優先してたから、藤崎君の気持ちを考えてなかった。……さっき呆れた顔してたし、怒ってるよね……また愛想つかされたかな……? 嫌われたかな……)





ぐるぐると嫌な事ばかり浮かんできて、ため息を吐こうとする。



と、隣から椅子に座る音が聞こえてきたかと思ったら。





「橘は悪くないよ。良い選択だったと思うよ」





励ましてくれたのは、玉川君。
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