私の彼氏はおデブさん
* * *
放課後になると、私は急いでB組へ向かった。




今日一日キスの事で周りからの視線が気になったけど、皆噂する事に飽きたのか、午前中程ではなくなっている。




……藤崎君も一緒だったかな。





「あ、清武君。藤崎君もう帰ったかな?」

「洸太なら図書室に寄って帰るって言ってたよ〜」





ちょうど良く教室から出てきた清武君が笑顔で教えてくれると、私も「ありがとう」と微笑み返す。



そして図書室へ向かって歩き出すと、続けて呼び止められ、不思議になりつつ振り向いた。




「橘さん」

「何?」

「良かったね」

「えっ?」




そのまま耳打ちしてくる清武君の言葉に、頬が熱くなった。





「洸太からキスされて。嬉しかったでしょ? また彼女になれたね、おめでとう」

「あ、ありがとう、清武君……まだ彼女じゃないけど」

「あはは、そうだった〜」





(は、恥ずかしい……やっぱり皆に見られてる……)




穴があるなら入りたい……。





「じゃあまたね、橘さん〜」

「うん、バイバイ……」






ニコニコして手を振る清武君に手を振り返すと、だんだん離れていく清武君の背中をドキドキしながら見つめた。




ハッと我に返るまで。




(こんなぼーっとしてる場合じゃない! 早く図書室に行かないと、藤崎君も帰っちゃう!)






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