私の彼氏はおデブさん
目をギュッと瞑ると、穏やかな声が降ってくるのと一緒に頭にふわりと暖かい感触がして、今までとは一転、拍子抜けする。




パチっと目を開いて確認すると、掴まれてない方の手で藤崎君から頭を撫でられていてドキッとした。






「嘘。分かってる。それが涼花の性格だからしょうがないって」

「えっ?……藤崎君、怒ってないの?」

「うん」





見上げていると藤崎君と目が合って、これまで冷たかった表情とは違って、優しく微笑むその顔に思わず見惚れる。




頭を撫でられている事にもドキドキしてしまうし。……やばい。藤崎君、凄くかっこいい……。





「涼花が決めた事なら俺はいつまでも待つから。……我慢はしないけど」

「えっ? 我慢って?」





頭を撫でていた手が、するりと私の頬へすべり落ちる。


と、そのまま目を薄く開いた藤崎君の顔がだんだんと近づいてくる事に気づいて、私は後ず去ろうとした。




……けど、もう片方の手で右手を掴まれているから動けない。
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