私の彼氏はおデブさん
(きっと藤崎君が助けてくれたんだ……)





「ありがとう、藤崎君……」






切実に、良かった。



助けて貰えて、解放されて、良かった。




(海老反り、怖い。もう二度と嫌だ)






目に浮かんでくる涙をぐっと堪えながら、私はお礼を言うと藤崎君の顔を見上げる。



藤崎君は眉間にシワを寄せ、廊下に座り込んでいるミヤビちゃんを睨みつけていた。



同じくミヤビちゃんも藤崎君を睨んでいて、その視線の間にはばちばちと火花が散ってるように見える。








「……何この人。邪魔しないでくんない!?」


「黙れ、一年なら先輩に敬語使え」


「はあ!? ちょっとぉ〜! この人意味わかんないんですけどぉ〜! セクハラ〜!」


「何がどうしてセクハラなのか説明しろ」


「うるせぇ! 親父! 大体あんた誰よ!」






ミヤビちゃんの叫び声が廊下に響くと、藤崎君は冷静なまま私の体をもっと近づけるように自身の方へと抱き寄せた。






「この子の彼氏。……候補」





(候補って……確かに今はそうだけど……)
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