野球してる君が大好きです。
「お嬢様…こんなところで寝ていたら風邪ひきますよ?」

そう言われて私は
結城に毛布をかけられる。
目は開けてなくても
声で結城だって…分かるから。


「心配したんですから…」
彼はそう言いながら
少しずつ声が近くなる。





「…こんな私を許してください。僕は欲張りだ。こんなにも君が好きだから。感情が抑えきれない…。君に好きな人がいるのもわかってる。それでもまた…、よりを戻したいとおもうのは…」


私の顔に水が落ちてきた。
雨が降っているのか?


でも…
それは、雨でもなく水でもなく
結城の涙だった。




私は目を開けた。



「ん…」
「っ‼︎お嬢様‼︎」
「ばか……、もっと素直になりなさいよ‼︎」
「え……?」
「……好きな人がいるなら…しっかり言いなさいって言ってるのよ‼︎男でしょ⁉︎」


私のことが好きだと聞いても、
そんなこと聞いてないフリをしないと…



「じゃあ、私は行くわ」

そう言って天文台から出ようとした。

その時。

結城に腕をグイッと引っ張られ、
彼の唇と私の唇が重なった。


私の顔がどんどん熱くなる。


そっと離してくれて
彼は照れながら笑った。


その笑顔にドキッとした。


「……好きな人なんて一人に決まってるじゃないですか?」
「……うん…」
「君だけだ。帆乃香」


そう言われた時
私の目尻からは
熱いものが流れてきた。


「…ばか……っ」
「ぇ…⁈」
「ほんと、バカよ……っ」
「……っ」
「もっと早く気づきなさいよ……‼︎」
「ぇ……」


私は彼をまっすぐ見て言った。



「今までどんだけ辛かったと思うのよ……。別れて後悔して…諦めきれなくて……。だから……っ、また……っ」

言葉が止まってしまう。
涙で前が見えない。


「……?」
「……別れてからも…ずっと好きだったから……」

私は彼にもたれた。




「……大好き…」
「はずかし‼︎」
「うん…」

私たちは見つめあって
苦笑した。


「さぁ、行こう。また心配かける…」
「うん…」
「最後に‼︎」


彼は私の前に立って
お辞儀をする。


「もう一度付き合ってください‼︎」
誠意と決意が伝わってきた。


「……はい‼︎」

私は快く返事が出来た。







また2人で歩み始めます。
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