野球してる君が大好きです。

帰ってきたエース*

私は先生に頼んで
3年は陽斗とクラスを離してもらった。

だから、学校に来ているかわからない。


それに私は生徒会長になった。

いちいち陽斗を気にする時間がない。
あと、陽斗はもう忘れている。
私は陽斗が誰だか頭の中が
整理できなくなっていた。


たまたま生徒会の仕事がなかった日。


久しぶりに野球部の練習を見に行った。
最近夜遅くまで
書類に目を向けたり
勉強をしていたりしてるせいで
かなり体が重く、えらかった。

でも、部員達の前で
そんな姿は見せられない。
だから、我慢して
グラウンドに向かった。

今年入った新入部員は12名。
約半数の新入部員は
中学で硬式野球をしていた。


グラウンドに行った時。
野球部室が騒がしいのがわかった。

どうしたのだろう。
何かあったのかな。

少し不安になりながら、
私はベンチに座った。


しばらくすると、
練習着に着替えた部員達が出て来た。


その中に見覚えのない人が
混じっている。


「あの人は…だれ…?」



思わず声に出てしまった。




「あれ!帆乃香先輩‼︎」
新入部員の高松直弥(たかまつなおや)くんが私のところにくる。

「直弥くん!あの、さ…」
「はい?」
私はおもいきって聞いてみた。

「あの人は誰?」
そう言って指さす。

「あぁ!主将の結城陽斗先輩ですよ」
「ゆうき…は、ると…」
「はい‼︎」

ゆうきはると。

誰だっけ。

私の知ってる人?

何も覚えてない。


「あ、俺、集合しないと!」
「あ、直弥くん、ありがとう」
「はい‼︎」

直弥くんは
無邪気な笑顔で笑ってくれた。




新しい主将。
今まで私が見てきたのは、
あくまでも、
副主将・坂城寿也の野球だ。


私が今から見るのは
主将・結城陽斗の野球だ。





彼はみんなをどう引っ張るのかな。
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