野球してる君が大好きです。
野球部の彼。

宮川翔太・田河遥香*

陽斗から告白されて、
私たちは付き合うことになった。

部活もオリエンテーションが終わり、
体験入部も終わり、
私は野球部のマネージャー。
陽斗は野球部に入った。

鳴澄河高校野球部といえば、
夏の高校野球大会の常連校。
レギュラー争いも激しく、
一年生レギュラーは今は誰もいない。


「陽斗…?」
「ん?」
「野球出来るの?」
「うん、一応経験者。帆乃香の家に来るまで普通に中学生活を送ってて、俺の中学は俺が2年の時に全国に出場して優勝したよ」
「ぇ……。優勝って…。もしかして、陽斗、その時からレギュラーだった?」
「うん。2年エースとして決勝投げた」


それを聞いて私は驚く。
私の知らない陽斗がここにいる。

「…が、がんばってね?」

私は陽斗の服の裾をつかむ。

「ほ、帆乃香…///」
「が、がんばってねっ?」
私は陽斗をしたから見上げる。

「先輩たちが…///みてるからっ///」
陽斗は恥ずかしそうに目を逸らす。



「おーい‼︎冨樫‼︎」
野球部主将の
宮川 翔太(みやがわ しょうた)先輩が
結城を呼ぶ。

「は、はい‼︎」

(そか…学校じゃ冨樫なんだった)

練習着に着替えた結城の後ろ姿は
すごく野球部らしく、
爽やかでカッコよかった。

「…翔太も大変なのよ」
私の隣でそう言ったのは
先輩マネージャーの
田河 遥香(たがわ はるか)先輩だった。

「遥香先輩…」
「ん?」
「翔太先輩と…は、どうですか?」

私は遥香先輩の好きな人が
翔太先輩だということを
知っている。

「んー…進展はないかな…」
「そうですか」
「むしろ…避けられてるっぽい…」

遥香先輩の震える声が
少し心にグッときた。


私もあったから。
言いたくても、言えなかった時期。
話したくてもうまく話せない時期。
近くにいたい勇気がなかった時期。


そんな時期を乗り越えて
私は今、ここにいる。

だから、結城に、想いが伝わったのだ。


「遥香先輩!頑張ってください‼︎わたし、応援してますから!」

そう言って、
遥香先輩の気持ちを和ませようとした。
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