野球してる君が大好きです。
「お嬢様…?」
「ごめんなさい‼︎私は大丈夫…」

そう言った時、私の目の前が今までより
暗くなったのだった。

「…?」

何が起きたのかわからなかった。
でも…時間が経って
抱きしめられたって分かった。

「大丈夫じゃないのに…無理しないでください」
「大丈夫よ…。私は…大丈夫…」

そう言うともっとぎゅっと、
抱きしめられた。
関係はこれ以上にはならないってわかってるのに…。


「…甘えてください。前からずっとそうです。なぜ、甘えないのですか?」
「甘えたいの…。でも…もう子供じゃないのよ…」

甘えたいのはわかってる。
だって、昔から甘えん坊だもの。

付き合ってた頃も
なかなか甘えられなかった。

だから、ずっと辛くて別れようって
陽斗に迷惑かけるから別れようって

それで別れたのに…。


陽斗が私の体を離してくれた。
彼の顔が間近にある。

「甘えてください。いつでも味方ですから……ね?」

味方なんて言葉言って欲しくなかった。

「私なんかに構ってちゃ、せっかくの打ち上げ遅れちゃうから…」
「いいんですよ…」
「早く行きなさい‼︎私のことは放っておいていいのよ‼︎先輩たちが心配するから……早く行きなさい‼︎」
「お嬢様……」
「これは…命令よ‼︎」


突き放すように
私が言った言葉は
自分でも悲しい言葉だった。


こんなこと言いたくなかった。


もっとそばにいたかった。
もっとそばにいてほしかった。





大好きだから
少し我慢した。
辛くても我慢した結果は
結局こんな結果だから。




別れて今の関係で良かったのだと思う。




その時…私の目から涙がこぼれ落ちた。




「え、お嬢様…」
「はやく……行きなさい……っ」
「でも……」
「はやく…早く行ってよ……っ。もう、私のことなんて……気にしないで…、はや、く……行ってよ……」
「そんなこと言わないでくださいよ」




そう言って彼は私を抱える。



「結城……」
「こんな暗い中お嬢様を1人で待たせるわけには行きませんから」
「おろしなさい!はやく、みんなのところに行きなさい‼︎命令よ‼︎」
「たとえ、お嬢様の命令でも…」
「いい加減にしてよ‼︎関係ないって言ったのはあなたでしょう⁈だったら、私に構う必要なんてない!」

私がそう言うと、
彼は私を降ろしてくれた。

私の本心じゃない。

「だから、早く行って……?」
涙なんて流れても
彼は気にしないだろう。
だってもう、関係ないんだから。

「お嬢様は本当に嘘が下手でございますね。もっと素直になってください」

彼はそう言って屋敷に向かって歩く。

「あ、言い忘れました。お嬢様のことを関係ないなんて思ったことはございません」

その言葉は…私にとって
すごく嬉しい言葉。

「お嬢様も行きましょう?みなさんがお待ちでございますよ?」

足の痛みを我慢して歩く。
それでも痛い。

すると…

また、結城が私を抱えた。

「わっ……」
「もう、我慢しないでくださいね?」

そう言って、
屋敷のほうに向かう。

「ありがとう……」
そう言って彼に少しもたれた。




落ち着く。




まだ好きなんです。




だからもう一度伝えたい…。




「好きです…」




心の声は気づかないうちに声に出ていた
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