野球してる君が大好きです。
「もぉ!心配したじゃん!」

胡桃がそう言った。

「ごめんごめん!ボーッとしてたらみんないなくなってて…」
「最近多いよね…」

そんなことない

そんなことないなんて
言えなかった。
だって、ずっとそうだったから。


「ま、まぁ…。でも、気にしないで!3日間楽しもうよ‼︎」
「そうだね‼︎」

私は楽しめないけど
楽しんでるフリをすれば
何もばれない…。


「じゃあ、行こーぜ‼︎帆乃香について行くぞ」

翔太先輩はいかにも野球部の主将らしく後輩の私たちに声をかけた。
その姿が前まで見ていた陽斗に重なった。大好きで仕方なかったあの頃。


「帆乃香?」

私はまたボーッとしていたせいか、胡桃に声をかけられた。

「ぇ‼︎あ、ごめん…」
「大丈夫…?」
「大丈夫だよ‼︎」


大丈夫なわけがない。
ツライよ。


「ほら、行きましょ‼︎」

大丈夫なフリだけ続けた。
みんなにばれないように。


でも、胡桃も遥香先輩も翔太先輩も三吉先輩も寿也くんも陽斗も気づいていたらしい。


それでもみんなは気を遣ってくれて。

徒歩10分。
海の近くにある大きな別荘に着いた。


「え、大きい…ね…」
遥香先輩が苦笑する。

「私も、ここに来るのは3年ぶりなんです…。改めて大きいなって思いました」


そう言いながら中に入って行く。

鍵はお父様から貸してもらった。




「部屋は、男女別です。比率的に男子の方が多いですが、男女部屋の広さは同じです。自由に使ってくださいね」

そう言って2階に行き、部屋を開けた。


「ちょー、キレイ‼︎」
「だよね…」
「恋人ときたら…」

遥香先輩の顔が赤くなる。
私もそう思った。
でも、私にはもういないの。


男子は隣の部屋で楽しくしてるのかな…。
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