野球してる君が大好きです。
(こんこんっ

誰かがノックをしている。

「はーい…」
私はドアを開けた。

「あ、帆乃香。遥香いるか?」
ノックしたのは、翔太先輩だった。

「い、今。呼んできます」

そう言って私は遥香先輩を呼んできた。


遥香先輩と翔太先輩は何か話している。
それもすごく楽しそうに。


「遥香先輩、楽しそうだね」
「羨ましい…」
「胡桃には寿也くんがいるじゃない」
「えへへ…帆乃香だって、陽斗くんが」
「陽斗は…関係ないよ」

私の声は自分でも驚くほど震えていた。

「そか…」
「好きな人がいるんだって‼︎」
「ぇ…、何それ‼︎許せない」
「私が応援しないと…」

思い出すだけでもつらい。

「帆乃香は…まだ好きなの…?」
「まだ…好きだよ。大好きなの…っ」

本心を打ち明けた。
遥香先輩もすでに戻っていたので
全て聞かれていただろう。


それでも、私の悩みは
全ては解決できないものだった。


そんな時、ばんっとドアが開いた。

「海いこーぜ‼︎」
三吉先輩が入ってきた。

「いいですよ!行きましょ」
私は明るく言った。

それでも、胡桃たちは心配してくれた。

「今準備しますね」

そう言ったら三吉先輩は了承して男子部屋に戻った。
私たちは準備を済ませた。

私は更衣室でさきに水着に着替えて上にワンピースを着た。

そして、女子部屋に戻った。

「帆乃香〜。準備できた?」
「うん!行こっか」

そう言って私たちはしたに降りる。


男子はすでに準備が終わっていた。



「んじゃいこかぁ!」

三吉先輩がやけに張り切っている。
遥香先輩と翔太先輩は2人で並んで話している。胡桃と寿也くんも。

陽斗は三吉先輩と一緒に話しながら歩いている。


私はみんなの後ろ姿を見れる位置で歩いていた。
まだ足が痛いっていうのもあるし
みんなといると辛くなるっていうのもあるから。


海は近いのですぐに着く。

テントも自分たちで用意して
海に入る。
私はみんなとは一緒に入らなかった。




みんなのはしゃぐ姿は
とても高校生には見えなかったけど、
たまにはいいかなって思った。


私は…1人寂しくみんなを眺めていた。
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