キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
ふらふらと重い身体を電柱に預ける。
どのくらいの時間走り回っていたのかわからないけど……もう、限界だった。
「……どこにいるの……?コタ……」
「坂本さん!やっと見つけた!」
「!!」
ぽつりと呟いた瞬間突然聞こえてきた声に、私はガバッと顔を上げる。
するとそこには虎谷先生の姿があった。
「先生……っ!?」
「坂本さんなのか!?さっき患者さんに会って、女の人が“コタロウ”って叫びながらネコを探してる、って聞いてまさかと思ったんだけど」
「っ!」
先生が真剣な表情で訊ねてくるけど、私はそれに答えられないまま、気付けば先生の胸の中に飛び込んでしまっていた。
「コタロウが……っ!コタ……っ」
「坂本さん、落ち着いて。な、落ち着こう」
「私のせい……っ、コタが」
「坂本さん!落ち着けって!」
「!!」
先生の強い言葉に私はびくっと身体を震わせた。
「コタロウがいなくなったのは本当なんだな?」
「~~っ」
私は何も言葉が出なくて、先生の胸の中で頷くことしかできない。
私のせいでコタロウがいなくなったんだ。
リビングのドアをちゃんと閉めていなかった。
それに、コタロウが雷が嫌いなことを知っているのに、それに気付かないで……。
全部、私のせいだ。