キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
 

ふらふらと重い身体を電柱に預ける。

どのくらいの時間走り回っていたのかわからないけど……もう、限界だった。


「……どこにいるの……?コタ……」

「坂本さん!やっと見つけた!」

「!!」


ぽつりと呟いた瞬間突然聞こえてきた声に、私はガバッと顔を上げる。

するとそこには虎谷先生の姿があった。


「先生……っ!?」

「坂本さんなのか!?さっき患者さんに会って、女の人が“コタロウ”って叫びながらネコを探してる、って聞いてまさかと思ったんだけど」

「っ!」


先生が真剣な表情で訊ねてくるけど、私はそれに答えられないまま、気付けば先生の胸の中に飛び込んでしまっていた。


「コタロウが……っ!コタ……っ」

「坂本さん、落ち着いて。な、落ち着こう」

「私のせい……っ、コタが」

「坂本さん!落ち着けって!」

「!!」


先生の強い言葉に私はびくっと身体を震わせた。


「コタロウがいなくなったのは本当なんだな?」

「~~っ」


私は何も言葉が出なくて、先生の胸の中で頷くことしかできない。

私のせいでコタロウがいなくなったんだ。

リビングのドアをちゃんと閉めていなかった。

それに、コタロウが雷が嫌いなことを知っているのに、それに気付かないで……。

全部、私のせいだ。

 
< 101 / 257 >

この作品をシェア

pagetop