キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
……ダメ。こんなところで足踏みしている場合じゃない。
私は先生の腕の中から抜け出そうと、先生の胸を押して後ろに一歩下がった。
「コタ……探さなきゃ……早く……っ」
「ちょっと待てって。闇雲に探し回っても仕方ないから、とりあえず落ち着いて」
先生が私の腕を掴み、私を真剣な表情で見下ろしてくる。
その手の力は私が歩きだそうとするのを制止するくらいには強いものだ。
私は離して、と身体を捻らせ、先生に訴える。
「でもっ!早く探してあげないと、コタは人が苦手だし、外にも出たことはないんです!それに車とか……っ」
「それはわかってる!でも坂本さんがそんなんじゃ、見つかるものも見つからないって言ってるんだ!」
「っ!!」
ぐいっと腕を引かれ、ぎゅっと先生の腕が私の身体を抱きしめた。
そして、落ち着けというように背中をぽんぽんと叩かれる。
こんな時なのに、先生の体温とその行動に私の心が一気に落ち着いていくのを感じていた。
「よく聞いて。きっとコタロウはそんなに遠くには行ってないと思う。コタロウは去勢手術もちゃんとしてるし、ひとりで一度も外に行ったことないんだよな?それならそんなに遠くには行かないはずなんだ。移動しても半径50メートルくらいのはずだし、コタロウは臆病だからよほどのことがない限り、どこかにもぐりこんでじっとしている可能性が高いと思う。近くの家の影とか自販機の影とかいろいろ場所はあると思うけど……近隣の家にも訪ねながら探した方がいいな。木があればその上に登ってないかも確認して」
ぽつりぽつりと先生はゆっくりと私に教えるように言っていく。
「あとコタロウの写真を載せたチラシとかも作ろう。坂本さんの家って確かパソコンとプリンターはあったよな?」
「……」
私はこくりと頷く。
「うん。じゃあ、それも作って。細かい住所は載せないで、あと電話番号は俺のを教えるから、それを使って」
「……」
こくり。