キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
 

「よし。じゃあ、とりあえず坂本さんは一旦家に戻って」

「えっ!?でも、コタ探さなきゃ」

「チラシを作ってきて欲しいんだ。それに、家に戻ってくる可能性もあるし、坂本さんが家に戻ってる間は俺がコタロウを探すから。あ、家に戻ったら、ベランダとか玄関のところにコタロウのにおいのするものも置いておいて。コタロウのトイレとか、よく使ってるマットとかクッションとかでもいい。自分の臭いに戻ってくるネコも多いから。あと、好きな食べ物とかも」

「……外に出たことがなくても自分で戻ってくることも、あるんですか?」

「あるよ。コタロウが帰って来る可能性はゼロじゃないから。信じよう」

「……は、い」

「うん。俺もとりあえず家までついて行くから、今から言うものを持ってきてもらってもいい?」


そう言って、私を促すようにして、先生は私のアパートに向かって歩き始めた。

歩きながら、先生は私にコタロウのキャリーバッグやよく使っている毛布、おもちゃ、よくあげているおやつなどを持ってくるように指示をした。



先生にコタロウのものを託した私は、ひとり部屋にいた。

先生に言われた通り、ベランダや玄関先にはコタロウのものを置いて。

しんと静まり返る部屋。

コタロウがいないというだけですごく広く、この季節なのに酷く寒く感じてしまう。

涙が出そうになったけど服の袖でぐいっと拭って、私はパソコンに向かって言われた通りにチラシを作った。

 
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