キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
 

チラシとすぐに食べられるものや飲み物を持って外に出た時には、辺りはすっかり暗くなっていた。

チラシを作りながらもベランダや玄関先を見てみていたけど……コタロウが帰ってきた様子は全くなかった。

私はコタロウの名前を呼びながら、外を探し始める。

アパートの人たちにはすでにコタロウのことは話していて、迷惑を掛けたらごめんなさいとお詫びもしていた。

アパート以外の近くの家から順番にチラシを渡しながら、コタロウを見かけた時には捕まえずにまずは連絡してもらうよう、頼んでいく。

もちろん、迷惑をかけてしまうかもしれないこともちゃんと詫びて。

これも先生に言われたことで、人に怯えてしまうコタロウを無理には捕まえずに、刺激せずにそのままにしてもらっておいた方がいいと言われたのだ。

探しながら1軒ずつ回っていると、バッタリと先生に出会った。


「坂本さん!」

「あっ、先生!」

「コタロウは?」

「……家には帰ってないです」

「そっか。こっちもまだ見つかってない。あ、それチラシだよな?あと1時間くらいは近所の家に配って回ろう。それ以降は迷惑になるから、明日配るようにした方がいい」

「あ、ですよね……」

「うん。もう暗くなったし、今からは一緒に動いた方がいいな」


その優しさに頷こうとしたけど、私ははっと気付く。

 
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