キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
「あ、待ってください。先生、明日もお仕事あるんですよね?」
「……あるけど、今は関係ない」
「関係あります。これ以上先生に迷惑かけられないし、後は一人で探しますから。帰ってください。今まで本当にありがとうございました。あと、これ」
飲み物を渡そうとすると、それを制するように先生は言葉を出す。
「帰らないよ」
「や、でも」
「さっき言った通り、夜から朝にかけてが一番外に出てくる可能性が高いんだ。周りの音も減るし、コタロウが鳴けば聞こえやすくもなるし」
「それはわかってます。一人で何とかしますから」
「俺だってコタロウが心配だし、夜に坂本さんを一人にすることなんてできない」
「でも、先生は動物の命を扱う仕事をしてるんですよ!?寝不足のまま仕事をしてもし何かあったらどうするんですか!?だから帰ってちゃんと休んでください!」
「!……それ言われると痛いな。わかったよ」
はぁと息をつきながらも意外とすんなり頷いてくれた先生に私はほっとした。
「じゃあ、こうしよう。日付が変わるまでは二人で探して、その後明るくなるまでは坂本さんは家に戻って俺は辺りを探す。明るくなったら交代。少しでも寝れれば俺は大丈夫だし。いい考えだろ?」
「!や、でも」
「うん、やっぱりそれがいい。もしかしたらコタロウは家に帰って来るかもしれないし、家と外で手分けしておいた方が効率もいいかもしれない。あ、でも家に帰ったらちゃんと寝ろよ」
「……先生」
「そうしよう、な?」
ぽんっと頭を撫でられたと思えば、先生は「これ、ありがたくもらうよ」と私の手から飲み物を受け取り、すでに歩き出していた。