キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
 

「ひゃ……っ!?」


ぐいっと手を引かれ、先生が真剣な表情をして私の顔を覗き込んできた。

その行動に私は驚いてしまって、息を呑んでしまった。


「……あーもう。まだ涙が出るのかよ」

「っ!?」


そう言われて気付いた時には、私は先生の胸の中にいた。


「泣くなら、今泣け」

「はっ!?」

「一人で泣くなんて許さないから。ほら」

「……っ」


ぽんぽんと背中を撫でてくれる先生の手がすごく優しくて、普段なら「泣け」なんて言われて泣けるわけもないのに……気付いたら私はすがるようにして先生の胸に顔を埋めて泣いてしまっていた。

この腕の中はすごくあたたかくて、安心できる……。

そのまま私は子どものようにコタロウの名前を呼びながら泣いてしまった。



私の背中をぽんぽんと撫でてくれるリズムがすごく心地よくて安心できて、ようやく涙と息が落ち着いてきた頃、私ははっと我に返った。

……ちょ、ちょっと待って。

コタロウが寂しい思いをしてるっていうのに、私、何で安心しきって……。

っていうか……私……っ!

完全にいつもの思考を取り戻した私は虎谷先生に抱きついてしまっていたことが一気に恥ずかしくなって、がばっと先生の腕の中から離れた。

 
< 107 / 257 >

この作品をシェア

pagetop