キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
「ご、ごめんなさい……っ!」
「いや。大丈夫か?」
「もっ、もう、大丈夫です!本当にごめんなさい!子どもみたいに泣いちゃって……っ」
「いいよ。一人でわんわん泣かれるよりもマシだから。くくっ」
「!」
先生がくすくすと笑っている表情を見ると、何だか気が緩んでしまった。
一度ちゃんと泣いてしまったからか、頭の中がすごくすっきりした気がした。
さっきまではただただ不安な気持ちが大きくて押しつぶされそうだったのに、だ。
それもこれも、虎谷先生がいてくれたから。
きっとひとりだったら、不安なままふらふらと闇雲に探し続けていたと思う。
一緒に探してくれる人がいるだけで……虎谷先生がいてくれるだけですごく心強かった。
「あの、先生」
「うん?」
「本当に迷惑掛けてごめんなさい。……ただの患者なのに、ここまでしてもらっちゃって」
そんなに優しくしてもらう権利なんて、私にはないのに。
先生には先生の生活があるのに。
私の不注意でこんなに迷惑を掛けてしまっている。
「……迷惑なんて思ってない」
「!」
その言葉にはっと見上げると、柔らかく笑ってくれている先生がいた。
ぽんっと頭の上に先生の手が降ってくる。
「迷惑なんて思わないから……もっと頼ってよ」
「先生……」
「今は早くコタロウを探すことだけを考えよう。安心させてあげよう。な?」
にっと笑った先生に、私は素直に頷いていた。
「……はい」