キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
「あっ、先生!」
「あれ?坂本さん?何で」
「や、目が覚めたから外に出てみたんです。雨降ってきたから先生のところにも早く行かないとって思ってたところで」
「雨?あ、ほんとだ。いつの間に」
「夜中には降ってなかったんですか?」
「うん。全然。今気付いたし」
先生がぼんやりと空を仰いだ。
その疲れきっている様子からも先生が一生懸命コタロウを探してくれていたことが伝わってきた。
「あ、コタロウ見つかってないんだ。悪い。家にも帰ってないんだよな?」
「……まだ帰ってないです」
「そっか」
「あの、先生。今から私が探しますから、先生は家に帰って休んでください。これ以上はもう、お仕事に差し支えますし」
「いや、まだ探すよ」
「でも」
「はい、ストップ」
「へっ?」
突然目の前に差し出された手に言葉を止めてしまう。
「“でも”っていう言葉は、もう聞き飽きたんだよなー」
「っ!ごめんなさい」
「それも」
「うっ」
「くくっ。コタロウが見つかったら何でも聞くから、それまではコタロウのことだけを考えよ。な?」
ぐしゃぐしゃっと頭を撫でられて、私はようやく頷く。
「……はい。……あっ、雨」
「あー本格的に降ってきたな。ますます早く探さないと良くないな」
「あのっ、ちょっと待っててもらえますか?すぐ用意して傘持ってきますから。あと、ゴミも持っていきます」
「うん。ありがとう。じゃあ、アパートの周りでも見てようかな。結構隠れるところあるよな、ここ」
「はい。ありがとうございます!」
私は先生にお礼を言って、バタバタと部屋に戻った。