キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
雨が降っているからカッパもあった方がいいかもしれないと、かなり前に買ったカッパがあることを思い出し、引っ張り出してきた。
普通の傘は一本しかないから、折りたたみ傘も用意する。
あとタオルと棚からお菓子や飲み物も取り出してカバンに入れ、私は外に出た。
外は少しずつ明るみ始めていて、夏だというのに雨が降り始めたせいかさっきよりも空気はひんやりとしている気がした。
でもコタロウはきっと、もっと寒い思いをしていて、どこかで寂しい思いをしているんだ。
そう思うと私は涙が出そうで身震いしそうになるのを必死に抑えて、先生の元へ足早に向かった。
先生に大きい方の傘と食べ物、飲み物を渡すと、「ありがとう」と受け取ってくれた。
少ししたら先生には帰ってもらおう。
そう思って、一緒に探し始めた。
「コタロウ、出ておいで。コター!」
休んだからか、また声も出るようになったし、身体も軽くなった気がした。
でも、呼んでも呼んでも、私の耳に届くのは雨の音と、私と先生がコタロウを呼ぶ声だけ。
そして、目に映るのは雨と明かりが少しずつつき始めた家々と植物と無機質な電柱など、私が求めている存在以外だけ。
コタロウの姿はやっぱりどこにもない。
こんな風に不安な気持ちでコタロウの名前を呼ぶのは何度目だろう。
早く元気な姿が見たい。
そう思いながら、私は何度もコタロウの名前を呼ぶ。
何度も、何度も、雨の音に負けないように。
……でも、その私の想いは届くことはなく、時間だけが無情にも過ぎていく。