キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
 

そんな虚しすぎる時間が1時間ほど過ぎ、空には雲がいっぱいに覆っているとは言え周りがすっかり明るくなった頃、私はよしと気合いを入れて先生に声を掛けた。


「先生」

「ん?」

「そろそろ帰ってください」

「……あーもう。クソ、何だよ」


もっと探していたいというようなイラついた様子で虎谷先生はため息をつく。

私はイラつく先生に落ち着いて欲しいと、笑顔を浮かべて声をかける。

出来る限り、明るく。


「私なら大丈夫ですから、家に帰って少しだけでも休んでからお仕事に行ってください。絶対にコタロウは探し出しますから。先生は患者さんのことを一番に考えてください。昨日から手伝ってくださって、本当にありがとうございました。お礼にはまた落ち着いたら伺いに行きますので」


私はペコッと頭を下げる。

虎谷先生がいないのは心細いけど、甘えちゃダメだ。

これ以上迷惑をかけちゃいけない。

コタロウのことなんだし、休ませてもらったんだから、今からは私がしっかりしないと。


「……悪い」

「な、何で謝るんですか?それ、おかしいですよっ」


本当に申し訳なさそうな表情を浮かべる先生に、私はアハハっと明るく振る舞う。

笑える気分じゃなかったけど、こうでもしないときっと先生は帰ってくれない。

私のせいで先生だけではなく患者さんにも迷惑を掛けるわけにはいかないんだ。

 
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