キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
お昼を過ぎても、夕方が近付いてきても、雨はやむことはない。
傘とカッパがあるとは言え、全身がしっとりと濡れてしまっていて気持ち悪い。
着替えに帰りたい、お風呂にゆっくり浸かりたい、という気持ちがよぎってしまうけど、いやいやと首を振る。
コタロウは私よりも辛い思いをしているんだから、コタロウを見つけるまではオアズケだ。
それに、早くしないとまた夜が来てしまう。
「コター?コタロウ?」
私は朝の8時くらいからまた近隣の家にチラシを配り始めていた。
家に帰った時にまた枚数を増やしたから、夕方近くになった今でもまだ配れる量はある。
それと同時に、自販機やゴミ箱の裏など、隙間があるところを徹底的に探し回っていた。
一度、自販機の裏にネコの姿があってコタロウかもしれないと心臓が跳ねたけど、違うネコだった。
そのネコは雨に濡れてしまっていて、コタロウも同じように濡れて震えているかもと思えば、辛くなってしまって、さらに早く見つけなきゃという気持ちも高まった。
人に会えば、チラシを渡しながらコタロウの特徴を伝えて、お願いをして。
「頑張ってね」と言ってくれる人もいれば、無言でチラシを受け取ってくれる人もいる。
中には「うるさいんだよね」と言ってくる人や、チラシを受け取ってくれない人も一握りいたけど、それは私が悪いんだからととにかく謝ってお願いした。
何があってもめげちゃダメだ、と自分に言い聞かせて、身体を動かした。
雨に濡れようとも植え込みがあれば覗き込むし、木があれば仰ぐ。
できることを、私はしていく。
道を車が通るたびに、バシャンと水溜まりが跳ねる音が響く。
それと共に私を襲ってくるのは不安ばかり。
車の音を聞くと、どうしても嫌な想像が頭に浮かんでしまうのだ。
あーもう、ダメダメ。変なこと考えちゃ。
こっち側の路地にある家にはチラシを配って見回ったし……、次はあっち側に行こう。
半径50メートルと言ってもまだまだ行けてない場所は多いし、隠れられそうなところもたくさんある。
よし、と気合いを入れて踵を返そうとした時だった。