キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
 

「坂本さん!」

「っ!?」


突然呼ばれた自分の名前にビクッと身体を跳ねさせてしまう。

その声は間違いなく、虎谷先生だ。

声の方に振り向くと、虎谷先生が慌てた様子で私に向かって走ってきているところだった。

何かあったのだろうか?

もしかして……

私の頭の中に嫌な予想が浮かぶ。


「やっといた……!」

「!」

「見つかったよ、コタロウ!」

「っ!本当ですか!?コタロウは無事なんですか……!?」

「当たり前だろ!患者さんが家の塀の影にネコがいる、って連れてきてくれたんだ。昨日近くに行ってたけど、気付かずに通りすぎてたところだった。見つけてくれた人は知らない人ってのもあってすごく怯えてたけど、前によく脱走するネコを飼っていたらしくてうまく捕まえてくれたみたいでさ。怪我もないし、ちょうど屋根があるところにいたみたいで全然濡れてなかったし、大丈夫だよ」

「……よ、良かっ……っ!」

「泣くのは後な。行こう」

「ひゃ……っ!?」

「コタロウが待ってる」


にっと嬉しそうに笑った虎谷先生が私の手を取りぐいっと引いて歩き出す。

私は「コタロウが見つかった」という事実がまだ信じられなくて、ただ引っ張られるままついていくだけだった。

気付けば、雨は上がっていた。

 
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